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少女の詩
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作詞 あり得んマナッベン |
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ひんやりつめたいなつのあさ。へいたいさんのかっこうしたおとうさん。みたこともないようなこわいかお。おかあさんがないてるよ。またあえるからと、ゆびきりげんまんやくそくした。おててをおでこにひっつけて、どこかとおくへいってらっしゃい。
まっかなかおしたおひさまが、おやまのせなかにかくれんぼ。あたまがちょこっとみえてるよ。またおかあさんがないてる。ねえ、おとうさんはどこにいったの。ねえ、おとうさんはなにをしにいったの。きゅうにうるさいさいれんのおと。だれかさんがさけんでる。おかあさんといっしょにたんぼのみちをはしったよ。とおくのそらからでっかいからすがとんできた。おかあさん、そんなにひっぱったらおててがいたいよ。めのまえに、むかいのいえのおばあちゃん。からすがおおきなこえでなきながら、くろいうんちをおとしたよ。
どかん。
いたいよ、いたいよ。ひざにおおきなすりむききず。おばあちゃんがきえちゃった。じめんにまっかなちがいっぱい。おそらのようにまっかっか。おかあさんがだっこしてはしってくれたよ。
まっくらせまいどうくつで、むらのみんなとおしくらまんじゅう。ごつごつつめたいいわのかべ。こわいよ、こわいよ。おかあさんがないてる。みんなみんなないてる。みんながなくから、わたしもなくよ。おとうさん、あいたいよ。どうしてそばにいてくれないの。
きょうもおかあさんがないてる。いつもよりおおきなこえでないてる。おじちゃんのおうちのなか、ねずみのいろしたおとうさんみてないてる。ねえ、どうしてないてるの。ねえ、なにかいやなことがあったの。そんなにないたら、おとうさんがしんぱいするよ。げんきだしてとあたまをなでなで。おかあさん、そんなにだきしめたらからだがいたいよ。おとうさん、どこにいるの。まちくたびれたよ。おかあさんがないてる。おとうさん、いつになったらかえってくるのかな。
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