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遠い町のオリオン
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作詞 棟方 |
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改札で遠い町の切符を握り締めて
反対側の手で僕のTシャツを握り締めて
君は少しだけ震えていた
遠い町に、少しだけ 怯えて・・・
「大丈夫だよ きっと 電話してくれよ」
そういって君を改札の向こうへと押しやった
振り返ろうとする君を
終電を告げる放送と
周りのあわただしさが攫って行く
見えなくなった君を あえて探さないように
僕は駅に背を向けて家路を急いだ
「もう慣れたかい」
僕は電話口で君に言う
どういう返事がほしかった?
「もう慣れたよ」「慣れてないよ」
きっと僕はほしかった 「慣れてないよ」という言葉
”慣れてないよ” そういって電話口で泣き出す君
電話口 慰める僕 昔と変わらないこの関係
何故だかとてもうれしかった
「星が出てるかい」僕は尋ねる
「見えてるよ、オリオン座が見えてる」
僕らが唯一見つけられる星座の名前
それを君は口にした
数年前も僕の隣で同じこと、言った
「また、電話してくれよ」
僕は言った電話を切った
部屋が急に静かになった
電話をきっただけなのに
「もう慣れたよ」そういう ”手紙”が君から届いた
もう電話がかかってくることも無い
君が電話で泣くことも無い
僕が慰めることも、きっと
「大丈夫だよ、がんばれよ」そういう ”手紙”を君に書いた
そしてもう一言だけ書いた
「ありがとう 元気で」
遠い町の僕の知らない場所で
君は見てるんだろうか オリオン座
誰かの隣で 見てるんだろうな
僕もみてるさ オリオン座 君が隣に居ると思って
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