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空想
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作詞 arey |
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猫がひらりと塀に上って
じっと何かを見つめている
その目は透き通るようで
違う世界へとつながっていた
黒猫の喉には数個の首輪
あらゆる色が混ざりあう
少年は赤
少女は青
めいめいの首輪をつけてやった
それはいつでも別れの合図
次の日にはもう猫はいない
短く鳴いて ふらりと消える
時折、猫は空を見上げた
眩しそうに目を細めて
少年の赤
少女の青
どの色にも陽の光が当たって
全てが鮮明に見えるようにと
背伸びをして尻尾を立て
存在を誇って 天を仰ぐ
空から見下ろしたなら
猫はほんのちっぽけな黒
そうやって片付けられたくないから
束縛を意味するものさえ
自由の象徴に変えた
もうただの黒ではなくなった
「死ぬときは
きっと空に昇る
生きた証を見せつけて
雲の上を歩くんだ」
猫はまた 旅立つ
そうゆう物語
猫は音も立てずに塀を降りて
首には紫の首輪がひとつ
周りのものには目もくれず
悠々と坂を下りていった
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