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シルシ。
作詞 深冬
何度そうして身体に触れた?
まだ足りない、充たされないと、どれほどこうして、その肌に口づけた?
覚えちゃいないよ……
僕のものだと言い聞かせながら、いくつものキスの跡を残し、爪を立てて、
その声を聞きながら、赤い線を身体につけていく。
後でどんなにか君は途方に暮れるだろうと、自虐的に心の中でだけ微笑みながら。
どれだけ印をつければ、自分のものになるのだろう。

隣りの部屋の窓から差す光がまぶしい。
ああ、もう日が暮れる。
帰らないと。
今日もこうして終わりを告げて。
また明日も、きっと同じことを繰り返す。

先に玄関に立って靴をはいている、後ろ姿。
今にもドアの向こう側に消えてしまいそうで。
その背中ごと抱きしめて、肩にかかる髪に自分の顔を埋めて、そしてその耳にささやく。
「愛してる」
何度繰り返したところで、それは何の手形にもならないと、気付いてはいても。
印と同じで、他につなぎとめるものを知らないから。
「ね、分かってる?」
しばらくじっとされるままになっていた君は、ふいに抱きしめている僕の腕から離れた。
そして僕の方を振り返り、静かに微笑むと、その唇で僕の唇に軽く触れた。
「うん」
そう言い残して。
君はドアを開けると、踊り場にトンと立った。
僕は動けなかった。

やりきれない。
そう思ったところで、全て後のまつりで。
僕の唇に名残りだけ残して。
君は先に出ていってしまった。

どれだけ印をつければ、
自分のものになるのだろう・・・・・・

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公開日 2005/10/02
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コメント 昔、違うHNでこの詩を描いたのですが自分のHNはおろか、タイトルすら忘れてしまったのでもう一度書かせていただきました。。
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