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とある子供のお話
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作詞 loca |
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これは世界にひとつしかないおもちゃ。
ボタンを押すと、自分の名前を呼んでくれる。
とても大切だった。
いつでも自分の名前を呼んでくれるから。
3年経った頃。
ずっとおもちゃのボタンを押してた。
自分の名前を呼んでくれることだけが楽しみだったから。
4年経った頃。
ボタンを押してもときどき反応しなかった。
少し悲しかった。
いつでも名前を呼んでくれると信じていたのに。
5年経った頃。
ボタンを押してもほとんど反応しなくなった。
とても悲しかった。
それでもそのボタンを押してた。
ひとり泣きながら、そのおもちゃを直そうとした。
いつかまた名前を呼んでくれると信じて。
6年経った頃。
おもちゃはいつか壊れるものなんだと知った。
似ているものは、たくさんあった。
おとうさんが買ってくれると言った。
そんなものいらなかった。
こんなつらい思いはしたくなかったから。
その壊れたおもちゃだけが大切だったから。
そうして僕は二度とおもちゃを持たなくなった。
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