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fools
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作詞 蘇季 |
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光が波打つ午後の夢見に
ゆらりと落ちてくる影
私に似たあなただった
深い蒼を帯びて
温かさも感じない
冷めた目でただ沈んでいく
茨を纏って
手を伸ばしたら届く気がした
助けなくちゃ
これ以上
沈んでしまわないように
ここにきてはならないと。
瞳の奥に揺らいで見えた
悲しみに気付いて
抱きしめずにはいられなかった
夢から覚める前に
燈火が弱まるその前に。
姿が違うだけで争う生き物がいると
遠い昔、話を聞いた
それ以来
私たちは姿を隠すようになったと
謠い継がれてきた
なんと愚かな動物だろう
膝の上で憔悴しきった寝顔を眺めて
思い出す記憶(うた)
目の前にいるあなたのためだけに
囁くような旋律に乗せて。
泣けないなら笑ってと。
心を殺して生きる悲しさを
説くように
泣きながら歌い続けた
意識の奥で言葉は眠り続けて
私のことなど忘れてしまうでしょう
それでももう行かなくちゃ
目を覚ましてしまう前に
あれからずっと雨は止まない
光が波打つ午後の庭で
煌めいてさざめいて
穏やかなはずなのに
あの日歌を聞かせた青年を思い出すたび
心が茨に締め付けられて
遠くから「おいで」と手招く声がするのです
頭痛のように。
誰かに操られるがまま
足が連れていく先は
ひとりぼっちで寂しがりが棲む家
忘れられないあの人の話と
声を引き換えに
どこまでも歩いて行ける足をくれた
見送る笑顔とは裏腹に
さみしさが影を落としていた
会いに行かなきゃ、逢いに行かなきゃ
時間が来てしまう前に
茨で痛む足でどこまでいけるかわからないけど。
あなたの目には他の誰かを
あの日の私と重ねてみてる。
隣で過ごせるようになった後で気づいて
隠れて泣き続ける日々を過ごした
窓の向こうで寂しがり屋が
右へ左へ歩いていた
名前を呼び振り向く姿
「あなたは生きて」と差し出された剣
空気の精になる前に
「ひとりにしないで」と嘆きの歌
受け取ることを躊躇う指
ひとりぼっちの寂しがり屋の声も届かず
海と雲を遮る光の中
教会の鐘の音と共に消えた
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