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人混みの中で君は。
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作詞 蘇季 |
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全てを見失ってしまった僕は
通り過ぎていく町並みを
横眼でただ見つめていた。
二言、三言 吐き捨てて
近付くモノに刃を立て
怯える人の顔を見て哂っていた。
それと同時に得る虚しさの意味を知りながらも
人混みの中消えていく面影を見ていた。
昔からある傷を見て溜息一つ。
「あとどれぐらい・・・」
空を見る。
飛行機雲が渡る景色を
誰にも見えてはいないらしい。
通り過ぎる人は皆 時計ばかりを気にして
些細な世界の変化に気付かずに通り過ぎていく。
「もどかしい。」
生命あるモノ踏みつけて
何事もなかったかの様に消えていく人たち
「苛立たしい。」
そんな日々を過ごしていた。
そんな僕の姿を見える奴なんぞ
何処にもいなくて
だから歌った。
色褪せた歌を歌った。
久々に目の前に人がいた。
いつも通り追い返す気でいた。
「どうせお前も 」
いつも通り刃を差し出した
珍しい。
「何故逃げないの?」
睨みつける視界に今では君だけが映る。
「震えてるから。」
たったひと言、残して
手に在る刃を握った。
何も言えなくなった僕から
刃は離れる
時計の針の音が
やけに五月蠅くて
耳を塞ぎ、凍てついた
朱紅く地を染める
毒は全てに廻って
朝の訪れが聴こえる日まで
僕は眠りについた。
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