|
|
|
タブン、ハツコイ―8月のコト
|
作詞 あづさ森 |
|
出会ってしまった
8月のコト
すらりと背の高い
ちゃいろがかった髪の人
同じバス
隣のシート
長くて綺麗なその足が
シートに入りきらなくて
色あせたビンテージジーンズが
こっちに向かってのびていた
馬鹿な自分ができたことは
こっそり盗み見するくらいで
それさえ
盗み見さえ重罪になるくらい
そこに在るのが罪なくらい
宝石みたいにきらきらしてた
つり革にぶら下がるサルを
本気で邪魔だと思ったあの日
あのヒトとの時間
曲がり角の向こう
せめて赤信号でいて
それまで それまでは見つめていてもいいんだから
気の抜けるような停車音が響く
炭酸がぬけたサイダーみたい
定期で下車する自分のうしろに
あの人の気配は無かった
ぶら下がるサルたちに阻まれて
もうあのシートすら見えなかった
名も知らぬヒト
もう逢えないかもしれないね
でも覚えているから ずっと
ずっと ずっとこの思いを
『バイバイ』
惜しむように何度も振り返って何度でも言うよ ちいさな声で
『バイバイ』
『バイバイ』
『バイバイ』
これを最後にするから、言わせてね
『―バイバイ、タブン ハツコイノヒト』
|
|
|