|
|
|
あるお話
|
作詞 §ミホ§ |
|
猫は一人旅をした
遠い昔の故郷に帰ろうと
あてもなく北へと歩き出した
猫は故郷を思い出そうと目をつぶる
あるのは大きな海の記憶
思い出せたならそれでよし
猫は海を目指した
風の香りが教えてくれる
故郷はまだずっと遠く
たいした目的があるわけじゃない
約束があるとかかっこいいことでもない
ただ猫は見たかった 自分が生まれた町を
ただ猫は知りたかった 自分を生み出した手を
だから猫は歩き続ける
小さな一歩を前に出す
どこまでも猫は旅をした
季節は何度も去っていき
年月は猫を弱らせた
猫の足はかたくなりやがて歩みを止めてしまった
猫の目に映るは かすんだ世界
故郷まではあと少し
猫は必死に手をのばす
教会のかねが教えてくれる
潮の香りが伝えてくれる
命に変えるほど重要な事じゃない
待っていてくれる大切な人がいるわけでもない
ただ猫は見てみたかった何度も夢で見た景色を
ただ猫はふれてみたかった海辺にゆれるヒマワリに
だけど猫は動けなかった
小さな体はもう動かない
猫は夢を見ているようで
体は軽く、ふわふわしていた
猫はそうして故郷を見た
猫はそうして眠りについた
|
|
|