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三笠
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作詞 思 |
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あなたがいた空間は 時を止めたまま
ぽっかりと開いたクローゼットの 白い布団も
あなたが忘れていった青い猫も
冷蔵庫に残された 安い焼き菓子も
帰ってくるかもしれない なんて 食べられなくて
コンビニ袋ごと放り込んだまま
淋しさなんかじゃない
それはきっと あなたがいないだけで壊れてしまった自分への
呆れだったり 怒りだったり 蔑みだったり
今も 無機質な天井を見つめながら
無表情のあなたがこの部屋の扉を開ける音を
蝉の声の向こうに探したりなんかして
あなたがいた空間は 時を止めたまま
読みかけのままで放置された 週刊誌も
にこにこ僕に微笑む青い猫も
長い髪にふれるたび 瞳を細めた
魔法の言葉のようにぬるんだ僕の名前を
減らず口ばかりの唇が 紡ぐ
幻なんかじゃない
今もずっと 忘れることなんてできないで 僕の中に居る
声音だったり 香りだったり 微笑みだったり
今も 無機質な天井を見つめながら
気まぐれなあなたがたわいなく告げに来るただいまを
夏の音の向こうに探したりなんかして
淋しさなんかじゃない
だってあなたは帰ってくるでしょう?
早くしないと
焼き菓子も食べてしまうから
ねぇ、
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