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囚われた身の上
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作詞 you.K |
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前略 お元気ですか?此方は夏日が続いております
其方は涼しいのでしょうね 秋口の風が吹いたと新聞で知りました
以前、貴方が仰っていた稀有な蝶は手に入りましたか??
世にも珍しい色をした羽根で悠々と舞うそうで
手に入れたら教えてくださいませ 主人と二人で参りとうございます
貴方の手紙が此方に届けられる度に 私は物思いに耽るようになりました
昔のことを思い出しては懐かしんでいますと 主人は「年老いたのだ」と言うのです
もう少しで何処も彼処も秋へと変わりますが、くれぐれも御身体だけは御自愛くださいね
流れる彼女の髪のよう 綺麗な文字がさらりと並んでいた
消印の日付が語るのは 彼女が返事をすぐに書いたという事実
風がふわりと運ぶ 白い紙からは花の香り
色鮮やかな着物を身に纏う 穏やかな貴女を手に入れられたら どんなに幸福か
隣にいる他人(ひと)の不幸を願いたくなった
様子を知れば 肌で感じたくなってしまうから 言葉の端に密かに終わりを忍ばせた
昔と変わらず 私に期待させる無邪気な貴女は 抉って 傷つけて 底へと突き落す
あと少しの言葉をこの声で伝えそびれました 持て余すだけの身体など必要ないのです
夏も終りの夜 欲しいものをついに手に入れたと記し 貴女を呼び寄せて 閉じ込めた
(秋の初めの夜 蝶を手に入れたと手紙で知り 一人参りましたら 閉じ込められて)
貴方の手紙が此方に届けられる度に 私は物思いに耽るようになりました
昔のことを思い出して 懐かしくなるほど
様子を知れば 肌で感じたくなってしまうから 言葉の端で密かに終わりを惜しんでいた
昔と変わらず 無邪気な貴女は私に期待させる
知らず知らずに囚われたのは私でした
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