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見上げた空に
作詞 紗夜
空の青が目に染みて

見上げることができなかった



大嫌いだった

あの臭い

あの汚れ

全てが

いっそ消えてしまえばいいと

願ったのは私かあの子か



可愛い可愛いハムスター

小さくてふわふわしていて

何もかもが欲しかった



きっかけは友達

そして見に行ったペットショップ

こんな可愛いものがあるのかと

誕生日のプレゼントは

すぐに決まった


可愛がるよいつまでも

もちろん私はそう言った

顔中で笑いながら


いつの日だろうその笑顔が

溜息と嫌悪の表情に変わったのは



その小さな動物は

いつも私の邪魔をした

テレビを見ている時

ゲームをしている時

絵を描いている時

母親の言葉が三度繰り返され

ようやく私は腰を上げる

そして忌まわしきあの動物の籠へと

野菜やらにぼしやらを突っ込むのだ

手の先でつまみながら



一番嫌いなのは掃除

なんて汚いその籠の中

一刻も早く終わらせようと

適当に汚れを綺麗にした

鼻をつまみながら



ごめんねとは

とうとう一度も言わなかった



ある日

学校から私が帰ると

母が泣きながら私に箱を渡した

その小さな箱に入った

小さな小さな動物を見て

赤いランドセルを背負ったまま

泣きもしない私を見て

母は私を一回叩いた



けれども

私はそっと撫でたのだ

その冷たい動物を

その時私は生まれて初めて

死というものを知ったのさ




庭の隅っこに木の板が立った

あまりに質素なその板には

その下に埋まる動物の

ほとんど呼ばれたことのない

名前がペンで書かれていた



風が吹けば消えそうなその墓を見て

大好きだよと

私は小さく呟いた

何故だろう

それは心からの言葉だった



そして伝えたい

もしもまた生まれてくるのなら

こんな私の元に来ないように

神様にお願いするんだよと

もしももう生まれないなら

こんな私など忘れてしまい

綺麗な星になるんだよと



それから背負うランドセル

何故かとても重くて

涙が出る程重くて

それでも私は平然と

親に罵られ続けた



誰も知らないそれでいい

私があの子を埋めた時

顔を泥と涙でぐしゃぐしゃにして

声が枯れるまであの子の名前を

呼んだとしてももうそれは

あの子に届かぬ言葉だから



私はその夜ずっと空を眺めていた

そして瞬く星達に

にっこりと笑いかけたのさ

その目を強くこすりながら

そうでもしないと

ぼやけて何も見えやしなかった



それから私は引っ越して

あの墓がどうなっているのか

私が知る術はない



ランドセルは学生鞄に変わり

毎日着るのははセーラー服に変わった

いつも私は少しの想いを

見ない空に捧ぐ



晴れた日に

ふと

ありがとうと

聞こえた気がした



私は空を見上げた

そうしたらやたらと

空の青が目に染みて

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歌詞タイトル 見上げた空に
公開日 2007/01/26
ジャンル その他
カテゴリ その他
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