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湖
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作詞 紗夜 |
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誰も知らない森の中に
誰も知らない湖があるの
深い森の中
濃い霧がたちこめ
静かな時が流れる
森の中に陽は差さない
冷たい空気が静かに動く
たまに鳥の哀しい声が
まるで唄を忘れたように
湖は流れを知らない
割れない氷が水面を覆う
あまりに澄んだその水は
まるで波を忘れたように
花も咲かない
光も差さない
けれどそれはとても静かで冷ややかで
そこへあなたが現れた
そんな些細なことなのに
ただそれだけのことなのに
光が訪れた
陰となっていた花達は
喜んでその光を浴びた
あなたがそっと微笑むだけで
森の中に陽が降り注ぐ
あなたがふっと触れただけで
湖は喜んで漣を立てる
あなたがいるそれだけで
小鳥たちは楽しげに唄う
それはそれは美しい
遠い遠い過去の幻
深い深い森の中
濃く晴れない霧が立ち込め
静かで永い時が流れる
厚い厚い氷を張った
あまりに儚いその湖を
もう誰にも触らせまいと
森は一層木を茂らせて
あまりに儚い湖だから
あまりに儚い心だから
けれども本当は信じてみたい
その水面に陽が降り注ぎ
森が唄うその時を
脆く美しい湖がある
深い森に包まれて
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