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物語
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作詞 紋白蝶 |
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帰り道に彼女を見つけた
彼女は無残にも打ち捨てられていた
僕を写した瞳はもう何も写さない
彼女を見つめる僕に
人々は陰鬱な眼を向ける
涙を流せず呆然とする僕を
誰もが通り過ぎていった
彼女が死してからあっという間に
一年という月日が流れた
彼女は今幸福でいるだろうか
彼女が倒れていた場所を見つめた
後姿を見た
黒く美しい後姿
彼女かと思い追いかける
しかし振り向いた顔には
僕の知る瞳が無かった
生まれ変わりは僕に懐いた
隣に寄り添っては離れて
そしていつしか僕の部屋に住み着いていた
彼女が生んだ子だろうか
僕はそんな予感がしていた
生まれ変わりと出会い瞬く間に
5年という月日は流れる
いつしかゼンと呼ぶようになった
生まれ変わりはいなくなった
いつもの気まぐれだろうと
僕は探しもしなかった
この事を後悔するとも知らないで
そして彼女の死から8年
僕はまた同じ姿を眼にした
それはゼンだった
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