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君の好きな靴
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作詞 ナオ |
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学校帰り、下駄箱での事。君はイタズラされ、
大好きな靴に泥だらけになったよね。
僕はその後姿をじっと見ていたんだ。何もしないまま。
何もしないまま、何もしないまま。
本当のことを言ってあげよう。いや…
本当のことを思ってやろう。イタズラした奴を
俺は思いっきり殴ってやりたい、と思った。何もしないまま。
何もしないまま、何もしないまま。
そしたらさ、俺の靴も泥だらけだった。毎度のことさ。
また買ってもらえばいい、そう思った。家に大急ぎで帰る。
母さんに「靴泥んこになったから買って」と言った。なにもしないまま。
何もしないまま、何もしないまま。
俺は自分のことは何もせずに、やってもらうだけ。
もし君の靴が俺だとしたら、他のと取替えになるのは嫌だ。
君と一緒に外を歩けなくなるから。それだけは嫌だよ…。
翌日の事、君は笑顔で登校していたよね。昨日の事がまるで
無かったかのように、君は強いね。見ると靴もピカピカ。
けど、新しくない。買ってもらった靴ではない。
自分のは、新しい靴なのに…。初めて恥ずかしいと思った。
君が下駄箱に置いた靴を、僕は少し見てみる。すると、
少し茶色かった、けど、薄い、極めて薄い。俺はおもった。
新しいのは買ってもらえないのかな。じゃあ、プレゼントしよう。
初めて行動しようとしたが、結局買うのは俺じゃなかった。
そして、また翌日。君にこの前買った靴を渡した。
彼女はいらないといった。俺はこう言った。すごく疑問系で。
君の靴汚れてるじゃん、上げるよ。すると、彼女は言った。
この靴は捨てられない、大切な思い出があるから。だからゴメンネと…。
初めてしたんじゃないかな、自分で渡す作業。
自分がさせてた作業ってこんなにも寂しく、苦しいのかと
初めて思った。僕はジャングルジムの中央で涙を流した。
涙が靴にしみこんだ、また汚れた。けど、今回は違う。
僕の涙がしみこんだ大切な大切な思い出の靴。
君の思い出はなんだか分からないけど、やっと、君の気持ちに
たどり着く事が出来た。うれしかった。一歩近づいた。自分の足で。君に。
君の好きな靴…それはなんだか分からないけど、きっと大切なもの。
お金じゃ買えない、新しいものにはその気持ちが分からない。
ルーキーには分かっていて、ベテランに分かることって
このことじゃないかなと、校庭でバスケをする君を見ながら思った。
また泥んこだ…。
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