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こころの風景
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作詞 米 |
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日の当たる所を探していた 流れのままに歩いてみて
目的地なんてとうに忘れた きっと誰もがそうだろう
人波に空いた止まった時間 そこで彼は絵を描いていた
錆びた金椅子 傾いたキャンパス
古ぼけた筆を持つ手だけ 思い出したように動いている
「ああひとつ僕の絵を描いてくれ」
無口な老人は右手だけでものを言う
ようやく開いた口からは 思わぬ言葉が飛び込んだ
「あんたの花はずいぶんと固い実をこさえているね」
呆気にとられる僕を見て 彼は再び絵を描いた
粗いキャンパス 固く丸まる白い 花
これが僕だと? 冗談じゃない
あわててその場を離れてみても 彼の右手は止まらない
止めてくれ もう十分だ
花も咲かさず縮こまる ああそうだ それは僕だ
「さあ最後の一筆だ」
粗いキャンパス 固く丸まる僕の花
「水を与えて肥料もやって たっぷりお日様くれてやれ そうすりゃ見事に花は咲く」
流れる人波 ぽかりと空いたウォータースポット
僕の心の風景に なみだの雨が描かれた
ようやく片手のジョウロに気が付いた
日の当たる場所を求めてた そういえば日陰を追っていた
この花はまだ答えてくれるだろうか
ジョウロに水は残っているんだろうか
いつか花が咲いたなら またひとつ僕の絵を描いてくれ
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