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蜃気楼
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作詞 seek |
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役目を終えた陽の代わりに辺りを照らす月。
表と裏、善と悪。
光はまるで虚ろな僕さえ優しく包み、全てを赦して。
「オヤスミナサイ。」と、夢の世界へ誘って。
砂漠の真ん中で立ち竦む。
振り返ると、蜃気楼の様に揺らめく貴女の姿。
「愛してる。」
今、確かに目の前に貴女が在るのに、
身動き一つできなくて。
貴女は呼吸をして、その足で立っている。
―――何故、触れられない?
その姿を水面に浮かべ揺らめいている月。
光と闇、黒と白。
月はまるで海を泳ぐ海月の様に、フワリフワリと漂って。
浮き世の現実から夢の世界へ連れ去って。
砂漠の真ん中で立ち竦む。
彼方に見えるオアシスは、今の貴女の在るべき処?
「ごめんなさい。」
今、確かに目の前の貴女は云うのに、
相槌一つ打てなくて。
貴女は涙を流し、僕を見つめる。
―――何故、謝るの?
伝えなきゃならない事は、たくさんあるのに・・・。
このまま夜が明けなきゃ佳いのに。
このまま夢が醒めなきゃ佳いのに。
たとえ交わる事ができなくても、貴女と居られるなら。
たとえ枯れ果てても、貴女の許に逝けるなら。
夢の中で貴女と過ごす事くらい、僕にも赦されるでしょう?
砂漠で僕は立ち竦む。
「・・・もう行かなくちゃ。」
砂漠で僕は涙する。
―――逝かないで!!!
蜃気楼の様に揺らめく貴女の姿。
今、目の前から貴女が去ろうとしてるのに、
僕は声すら出せなくて。
今、再び貴女は消えようとしてるのに。
貴女はこんなに哀しい表情をしてるのに。
―――何故、泣いてるの?
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