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餞
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作詞 鬼之子 |
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噫(ああ) 総てを咎めて
閑静の砂時計は更々流れず
ああ 雲罹る虹が燦然と
夕刻の鐘を静寂に慟哭
殺戮の凪が悲鳴を喰ろうて
溟濛(めいもう)の帳(とばり)が幽谷に落ちる
服(まつろ)ふ 従者の群れ
幸(さき)の先見て 禍言(まがつごと)を
夕羽振(ゆふはふ)る 鵺の羽根毟って
私の腸物(はらわた) 氷柱(つらら)の刃(は)で
創(きず)から流れる 血涙を
餞換わりに明かし飲みませう
刺々しく 絡み付き
「欲す事は無い」と仄めかす
凡夫(ぼんぷ)に纏わせる
衣等(きぬなど)有り得ぬわ
波の花に不知火が群がり
月の袂へと畷(なわて)を轢(ひ)く
服ふ従者の堵列
依り添って 甘水を啄(ついば)む
腐落(ふらく)した神は陰雨(いんう)に溶けてしまえ
遣らずの雨よ どうか
彼(あ)の恋忘れ草 枯らして 弔え
此の恋煩い 小夜の叢雲にて
餞の華燭 身罹(みまが)りし先で祝福を
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