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『ウチアゲハナビ』
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作詞 鈴香 |
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「花火大会があるから」と
体をゆすって起こす君
無邪気に笑うその浴衣姿は
目覚めたばかりの僕には少し眩しくて
家を飛び出して
歩き慣れたこの道を君は一人で走り出した
「転ぶぞ」と言った言葉が
君を追って夕日に消えた
夜空に咲いた ウチアゲハナビ
二人で並んで見上げたけれど
僕は知っていたんだ
君の頬を流れた一筋の雫のことを…
あの時 君は寂しい顔をしていたね
きっと忘れることはないだろう
「涙はいつか乾くから」と
自分で自分に言い聞かせたけど
僕の側にあったその美しい笑顔は
涙の奥に隠れてしまった
うつむき歩く帰り道
歩き慣れたこの道で沈黙を破ったのは君の言葉
「サヨナラ」
その言葉が静かに僕に終わりを告げた
夜空に消えた ウチアゲハナビ
二人で並んで見上げたけれど
僕は知っていたんだ
君の背中が遠くなったことを…
あの時 君は優しい顔をしていたね
ずっと忘れることはないだろう
振るはずのなかった雨が
一人になった僕を濡らすから
君といた部屋へ帰るよ
少し広くなった僕だけの部屋へ
あの日消えた
僕の言葉 君の背中
二人で見上げた ウチアゲハナビ…
今もまだ胸の中にあるから
いつかまた帰っておいで
約束しよう...
またここで手をつなごう
またここで―
見上げよう―
二人だけの ウチアゲハナビ
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