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旅人〜二幕・海原〜
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作詞 蟻蛾 心 |
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砂漠を歩いたこの足じゃ 水平線の先に行けなくて
小さな船と身体で 大海原へと旅立つ
白い鳥が空を泳いで 魚達が華麗に踊って
だけど彼は必死でオールを 何度も何度も漕いでいた
黒い雲が空気を苛立たせて いつの間にか鳥は逃げてって
青き大空が見えなくなると ポツポツと雨が降り始めて
すべてを洗い流すような 豪雨
嵐で船が木っ端微塵にされようが構わないさ
「俺の心は砕けない」 沈む船の上で天に叫んだ
何もかも奪っていこうとした悪風様でも
「俺の希望は奪えない」 壊れた破片で海を渡る
砂漠を歩いたこの足で 水平線へと泳いで行く
大きな志と夢 大海原の中間地点
黒い何かが水を振動させ 魚は怯え急ぐように逃げ
海面に残ったのは彼一人 波と波の間から迫ってきた
大口を開けて笑っている 怪物
例え身体のどこかが喰われても構わないさ
「俺の魂は喰えない」 迫る奴を前にして立ち向かう
全てを噛み砕こうとする鋭い歯先が何だ
「ふざんけんじゃねぇ まだ終われないんだよ」
腕一本軽いもんだ 流れる血が広がる
口に入るしょっぱい水 これはただの海水だ
痛さなんて忘れた でもそろそろ限界だ
少し眠たくなってきた おやすみなさい
目覚めたら船の上 隻眼の強面親父
どうせ捨てた命だ 最後まで戦うぜ
例えどんなに斬られても 立ち向かう勇気と
「俺にはまだ明日がある」 そう思う度胸
例えどんだけ時間が 流れようとしても
世界の端を見るまでは 死ぬわけにいかぬ
だけど親父はただの漁師 ただの勘違い
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