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模様
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作詞 桜井直樹 |
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急ぎ足に風が部屋に吹き込んで
部屋中を恍惚の春色に染めていく
窓から見えた
梅を淡紅色の
桜に見立てたりもね
そんな趣に溢れた週末の午後には
青電車に軽く揺られ君の街へ
そんな距離でもないのに
胸が弾んでさ
声も裏返ってさ
どんな彩りもしるしも
何一つ答えになんかならなくて
与えられた仕事をこなしてく
あの日の自分が蘇る
君と駆けた毎日が
モノクロ模様に滲んでく
渇いても褪せてもそっと滲んでく
何ヵ月も何年も同じ世界にいれば
君の嫌なとこばかり誇張してるみたいで
何かを取りこぼしては
一人取り繕ってた
笑顔にも近づけずに
君が他人につき通せる嘘なんて
もしかしたら一つもないのかもしれない
僕は知っていたよ
すべてわかってた
痛いほど感じてた
夜をともにして拭おうとした些細で小さな疑いを
君がいかにも晴らせたかように振る舞ってみせた
どんなに追いつこうとしても
時間が影をさらってく
君との日常をぎゅっと抱きながら
このまま青列車に揺られどこへいこうか
君の鼓動が弾む街の最寄り近くへ
僕を運んでくれよ
なんて言えないよね
だけど言いたかった
まだ後悔できるだけ幸せと
誰かに慰められたんだけれど
不細工でも情けなくても
君との愛を探したい
君と過ごした毎日が
明日の改札に背を向ける
帰れない
変えられない
わかってる
街はそっといま春の模様に移りゆく
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