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叶うはずのない願いが届いた場合(ケース1)
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作詞 レイン9999 |
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ある朝
目覚めてみたら
部屋の眺めが違ってた
なんでなんだろう?
ドアも開け難いったらありゃしねぇ
階段なんて一つの冒険だと思った
台所で朝飯を作ってるお袋
いつもありがとうな
「おはよう」と声をかけたつもりだったけど
振り向いてオレを抱き上げる
よしてくれもうそんな年じゃないだろう
頭を撫でた何度も
おいおい、終いには怒るぞ
オレに出された朝飯は
床の上
鰹節のたくさんかけられた
白いご飯
涙が出るけどおいしかったんだ
昼前には
気づいたんだ
景色の変わってしまった
その理由が?
昨日寝る前に愚痴を言ったっけ
「いっそのこと生まれ変わりてぇな」って
教室までたどり着くのは楽だった
昨日オレを振ったあいつになんて声かけよう
「おはよう」とさえ言えないで見つめてた
視線が合って近づいてきた
じっと目を見て話しかける
なぜか寂しそうなその瞳で
オレの頭を何度も撫でた
彼女が持ってきた昼飯は
分け前だ
色とりどりのおかずが並んだ
カロリー高め
涙が出るほどおいしかったよ
その夜
よく考えてみたら
このままでもイイかなんて
ホント短絡的なんだろう・・・
その夜彼女が訪ねて来てこう言ったそうだ
「私は本当に好きな人がいて、だからごめんなさい」
そのせいでいなくなるような弱いオレを
育てた自分が悪いんだと
お袋は笑って彼女を何度も慰めた
布団に入ってオレは願いました
「神様もう一度やり直させてください」と
あのお袋が大声で泣いてるなんて
心の底から願った
翌朝出された朝飯は
テーブルの上
レタスとベーコンの卵とじ
野菜サラダ
頭に浮かべて眠ったんだ
次の日
いつもより早く起きた
前と同じ視界だ
元に戻ったんだ!!
ドアを開けて階段を降り
お袋はテーブルでオレの帰りを待っていた
「ごめんな」オレは決まり悪そうに言った
お袋は一言こういった
「ご飯は食べたの?お腹空いてない?」
振り向いて支度にかかる
寝てないんだろう無理するなよ
彼女に振られたことを笑って話した
残念だったね、また頑張りな、とお袋
オレに出された朝飯は
想像以上
朝からステーキは食えないよ
え!?昨日の残り!?
笑顔が出るほどおいしかったんだ
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