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哀人
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作詞 Mr.小林 |
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「あ〜〜〜つまんね〜な」
って大声で空に八つ当たり
なのにあいつ 何も喋べんねぇから
「なんか話せよ」
ってまた空に八つ当たり
バカだろ俺?
お前にしたら 俺なんてちっぽけな 取るに足らない存在だろ?
分かるでしょ?
こんなことして何が楽しいの?
って思うでしょ?
でもさぁ 気分が晴れるんだよね
あいつ 俺が何言っても受け止めてくれるし
嫌な顔一つしないで 聞いてくれるんだぜ
本当いい奴なんだ
友達になりたいなら紹介するぜ
また、雨か・・・
今日は行けないな・・・
今でテレビでも見ようかな
そうじゃないとやってらんねぇよ
俺だけの場所
俺だけの時間
俺だけの友達
今欲しいものTOP3
どれもこれも手に入れよう
場所か・・・居間だろ、テレビ見てるし・・
時間だろ・・・やっぱテレビ見てるし、今だろ・・
友達か・・・へっ アイツがいるじゃん
「ちょっとあんたどいてよそこ」
「用がないなら部屋に行ってて」
「いると掃除できないから」
結局アレか?
俺はいらないのか?
邪魔ですか?
そうですか?
別にいいすよ
貴方、奪い去ったね
俺の場所
俺の時間
まぁ・・いいか
別にいいよ
慣れてる
俺には・・・ホラ あいつが居るから
夕暮れの河川敷
雨もやんだし 出掛けてみた
ホラね するとね なんか聞こえる
遠くのほうで話し声
子供達の遊び場所
草野球
「楽しそうだな」なんて思ったりして そっと覗いてみた
ホラね するとね なんか言ってた
よく聞こえないけど なんか聞こえる
友達との会話?
独り言?
いや違う、誰かに話してる
誰だろ?
って気になって つい身を乗り出してみる
「お前誰と話してんだよ?」
「友達」
「お前に友達なんかいねぇんだよ」
「いるよ」
「いねぇよ」
「いるって!」
「誰だよ」
少年は手を上に大きく掲げた
「えっ・・・ちょっ待てよ」
「空」
その一言が大きく響いた
まさか!?
って心が震えた
「なんだ〜お前もか」
とかそんな感情じゃない
お前も俺から俺だけの物を奪うのか?
俺だけじゃないのか?
お前の友達は俺だけだろ?
って 大空に 俺は大声で人目もはばからず大声を出した
少年のことなんかどうでもいい
誰かに見られてとかどうでもいい
変な人って思われてもいい
そうさ 全部慣れてるよ
何言われたっていい
でもさ これだけは答えてもらわないと困るんだ
半分狂ったように俺は問いかけた
時間が過ぎる
草がなびき
木が笑う
土はうごめき
俺をどかそうとする
あいつは黙ったまま
皆で 俺を バカに しやがって
これだけは・・・これだけは譲れない
無言が続く
何も言わない
俺がこんなにも頼んでいるのに、お前はシカトか?
いつも話してやっただろう?
相手してやっただろう?
なんか言えよ〜〜〜〜〜〜!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ただ、蝉の鳴き声が耳に響く
あいつは黙ったっきり
いつも通りただ広い
そして絶対的な存在で ちっぽけな俺を見下していた
からっぽだ
俺はからっぽだ
器はある
誰か・・・・俺を満たしてくれ
「空だって!?頭おかしいんじゃないの?」
「違うよ、本当だよ」
「アホらし・・・行こうぜ」
「本当なのに・・・」
ただ立ち尽くす
一歩も動かず
今にも泣きそうだ
「大丈夫、俺もだよ」
って言ってやりたかった
でも言えない
言いたくもない
俺はなんなにもちっぽけな存在なのか?
俺の価値はあんなもんですか?
あの少年を見てて俺は思った
「なんて可哀想なヤツだ」
本当に可哀想なヤツなのは俺のほうだ
今からでも間に合うかな?
まだ頑張れるかな?
「今までありがとう」
あいつに挨拶して
本当お前はすげぇよ
最後に一つ・・・ホラ
こんな俺だけど、ずっと見ててくれよな
!?
今 うなずいた?
まさか?
そんなわけねぇよな・・・
「さぁ、帰ろう、一緒にね」
「ママが心配してるよ」
優しかった
ずっと離さない
ずっと守ってやるよ
大丈夫
まずはここからだな
上手く言えるかな・・・
はっきり言えるかな・・・
まぁ いいか
心が大事なんだよな
「うん 大丈夫」
「もう 失敗はしない」
「そう決めた」
よし・・・・
なかなか喉から出てこなかった
いつもあと少しのところで俺が止めてた
今日は もっと安らかな心で言えたらいいな
そう・・・これが大事なんだ
帰ってきたよ って
俺の存在を証明しないと
俺が間違ってた
俺はもう今までの俺じゃない
もっと早く気づけばよかったなぁ
「ここにいるよ」って主張しないと・・・
たった一言だよ
うん・・・よし
「ただいま」
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