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ある世界の物語
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作詞 椎名 洸 |
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古い鍵がじゃらりじゃらりと鳴る
赦されないことと知っている
赦されなくてもいいと感じている
貴方にもう一度会えるのならば
私はどんな罰でも受けましょう
「美しい少女は
禁断を犯しながらも
何重もの錠の掛かった扉(とびら)を開けた
再び そう 魅惑の果実(かれ)と会うためだけに」
赤い杯を飲み干して
さぁ、赫く染まった世界で
貴女と一緒に踊りましょう
救いを求める亡者の手など
斧で切り落としてしまえばいい
下から伸びてくる無数の腕(たにん)などどうでもいい
二人はここで 永遠という禁忌を犯す
赫く染まってゆくのは世界か彼らか
そんなことも もう どうでもいい
「下の世界の人々(にんげん)を見下しながら
彼らは愛し合った
自分たちの愛で 人々が涙を流そうが
関係ないのだから」
鏡に映る 貴方と私
嗚呼 何てことでしょう
何時の間に私達は こんなにも
こんなにも 醜い体になっていたのでしょう
「長い長い年月
彼らは気付かなかった 気付けなかった
今まで魅ていたのはただの夢幻
鏡は嘘を吐かない 真実の姿を映し出す
嗚呼 彼らの体は何時の間にか
深く深く皺を刻んだ 老躯と化していた。」
「それに気付いた刹那
昔美しかった女(ろうば)は崩れ去った
その残骸を見た 昔魅惑の果実だった男(かれ)は
自分の真実を知る
嗚呼 彼もまた 崩れ去ってしまうのか
昔美しかった女(ろうば)の破片を
下から伸びてくる無数の腕(たにん)が嬉しそうに拾う
再び扉は閉められる
次に来る 哀れな人間たちのために。」
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