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翼の生えた人
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作詞 human |
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僕は生まれてから
ずっと心臓の病気で
寝たきりの生活を強いられていた
生きがいもなく
生きたくもなく
外を走る同い年の子を
眺めるのだけが 楽しみだった
僕もあの鳥のようにどこまでも自由だったら…
これが僕の口癖だった
ある日 起きてみたら
背中が痛かった
寝ぼすけの僕が 飛び起きるくらいに
耐えて 耐えて 痛みが治まって
背中に手をやると
翼が生えていた
皆に悟られまいと
羽をたたんでパジャマにしまって
どうにか やり過ごしていた
それから 僕の病気は良くなり
半年もしないうちに退院した
僕は自由になった 空も飛べる
自慢しながら 毎日飛び回った
人々の僕に対する目は
病気への同情から 飛べることへの羨望へ
そして
欲望へと代わっていった
いつものように 裏山を飛んでいたら
急に眠くなって 地面に落ちた
気付くと そこは
動物園の檻の中だった
束縛され ずっと同じ 臭い部屋で
何日過ごしただろう
何回助けを求めただろう
何回泣き叫んだことだろう
そのたび人は
「あのバケモノ喋ったよ」って
同じ人なのに
同じように生きたかっただけなのに
寝るときも
食べる時も
人に見られ あざけられ 笑われ
怖くて震えがとまらなかった
衰弱しきった頃
最後の力を振り絞って
もう一度 空へ飛ぼうと
檻を破った
同時に とめどない数の銃声がしたとたん
僕は 気を失った
今は
博物館の ショーケースの中から
君たちを見ているよ
化石として
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