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雪がとける
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作詞 七斗 |
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ずっと。
ずっと好きだった。
ダメなヤツって、笑ってもいい。
ドコが好きって訊かれても、うまく答えられない。
価値観も違うし、たぶん、生きる世界も違う。
そして、キミは、他に好きな人がいる。
でも、
・・・でも。
ずっと、好きでいたい。
初めて見たときから。ずっと好きだったんだ。
自分にはないものが全部あった。
自分とは何もかもが違った。
その目も、その髪も、その手も、笑顔も。
背の高さも、肌の色も、声も、泣き顔も・・・
壊れてしまいそうなのに、どうしてそんなに強いんだろう。
まだ、キミのことをなにも知らない。
雪が、降っている。
キミには、他に好きな人が居る。
本当は、沢山話したいんだよ。
だってさ・・・、話したら、もっと好きになっちゃうよ。
そしたら・・・辛くなるんだよ。キミに好きになってもらえないことが。
気持ちを抑え込みながら、キミにちょっかいをかけるんだ。
返してくれる反応が、構えば構うほど倍になって増えるから、
もう、止められない
そうして・・・そのうち胸がぎゅうって苦しくなって
「あぁ、好きなんだな」って実感して
その・・・あの人を羨ましく思う。
一緒に過ごした日。とっても楽しくて、すっごく幸せだった。
あの日だけは、キミを自分のものだと思った。
だから余計に、二人で買い物をしてるところに出くわしたとき、
胸が痛かった。直視できなかった。笑って挨拶してあげられなかった。
今なら、まだ、「羨ましい」で済ませられる。
よくわからない人に呼び出されたのを思い出した。
欲しい想いじゃない想いは、欲しくない。
このままぶつけても、困るだけだ・・・
雪が・・・降っている。
同じ想いが積もるばかりで、視界はずっと白いままで。
空も、道も、見る世界が全部白いから、何色にも染まっていないから、
キミのことばかり考えているから、
この白い世界を知らず知らずのうちに"キミ"色で染めている。
"キミの思い出"という話を、投映してしまっている。
雪は確実に積もっているのに、雪の量はどんどん増えているのに、
目に映るのは同じ"真っ白"で、雪が降っても降っても変わらないから、
「想いはどんどん強くなるのに、キミとの間に何も起こってくれない」
ってことに似てると思った。
顔を上げた。
雪が顔に貼りついた。
とけた。
さみしそうに立っているキミを見つけてしまったから、
キミに降り積もる雪を払い落とす役を申し出る。
雪が、とける。
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