|
|
|
彼女。
|
作詞 RIOKA |
|
虫を食べさせられるんだ。
いっぱい口に入れられて、噛みなさいと。
彼女は闇の中に居る時間が多くなった。
寝ても襲う、起きても襲う、深い深い闇。
いつだって恐怖なんだ。いつだって独りなんだ。
ほんの一時、周りが見えた時。
それさえも怖いと思う、助けてと思う、そんな曖昧な世界の中。
どうやって水を飲めるのだろう。どうやって息ができるのだろう。
例えば、あそこにいる人が、胸に紐をくくって、暗闇を歩けと言った。
それは事実なのに事実ではなくて、あそこにいる人が誰なのかもわからない。
例えば、父が母が夫が居なくなる。もう戻ってこない。
だから、今そばに居る人も、あのドアから出たら、戻ってこないんだ。
ドアを閉じたらもうおしまい。
彼女が光の下に居た頃、彼女が最も恐れていたもの。
今自分がそれに近づいている事。
時折見てしまうのであろう、その記憶。その残像。
わからないのなら、ただ、怖い。
わかるのなら、この上もなく哀しい。
胸に広がるのは、頭に広がるのは、どんな光景なのだろう。
あたしなんかが闇に居ると安易に言う何千倍も何万倍も、そこは暗いのですか?
きっと、暗いのだろう。暗闇よりも、怖いぐらいに。
ただ、泣いている。自分では理由もわからずに、ただ、泣いている。
精一杯生きているという事。それを痛感させてくれる。
あたしは、必死で生きた事なんか、ない。
彼女は、必死で生きているんだ。
自分が、自分で居る事を、求めて。
|
|
|