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僕を好きな君が嫌いだ
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作詞 しらゆき |
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『好きだ』
たったそれだけのことだった
他は何も言わないらしい
他は何もいらないらしい
伝えたところで発展せず
途絶えた連絡の訳を知らず
「ごめんなさい」が言えない
僕は今まで何を習ってきた?
くたばった蝉の骸を
踏んでいたことに気づかず
靴裏に感触が残る
二度も死に追いやった罪悪
愛を叫ばれた
こんなことは初めてだ
相手の傷付け方は教育になかったな
好きな人、嫌いな人
両者が愛し合うことが嫌い
一方通行にしか見えない傍観者です
僕も、君と
こんな風に思われる気がして
でも僕のことを好きな人ってお前くらいなんだよな
唯一、こんな僕を愛してくれる
唯一、そんな君を嫌ってしまう
だからはっきり伝えよう
「僕は君が…」
「好きだ」
やっぱ、それだけは言えないや
ただ他を当たれとも言えない
まだ好きになれないとも言えない
今はとか言ってしまったなら
次はとか思われるだろうから
「ごめんなさい」と言いたい
どうせ仕方ないと片付けるくせに
断れないのは何故だろう?
命を踏みにじることはできるのに
愛を突き放せない僕は
何よりも愚かな命だ
頭痛を生む原因が
未だ鳴り止まない悲鳴だと知った
命と愛とを天秤に掛ける
好きなこと、好きなもの
何にも合わない別人類よ
一方通行を否定できるならすればいい
僕は、君を
傷つけたいとは思わないが
一度も引き下がらない態度が気に障るんだよな
唯一、君だけ抱いてあげられない
唯一、君だけキスしてあげられない
だからはっきり伝えよう
「僕は君が…」
汗で濡れたTシャツが
徐々に体温を奪っていく
君を目の前にすると
上手く伝えられないや
『こんなに愛しているのに』
『ずっと前から好きなのに』
そうだ、僕は人殺しだ。
君が殻を脱ぎ捨てていくところ
君が力尽きて落ちてくところ
全部、近くで見ていたからこそ
君を好きにはなれない
愛とか綺麗な何かは芽生えない
斜陽は僕を味方してくれない
好きな人が嫌いな人になる瞬間
君は一体どんな顔で突き放すだろう?
僕は、君の
甘い夏を殺そうとしている
期待に応えず夢を壊し、君を殺そうとしている
唯一、こんな僕を愛してくれる
唯一、そんな君を嫌ってしまう
存分に罵っていいよ
盾にできる人も、犠牲も作れない
だからはっきり伝えよう
「嫌いだ」
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