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無題。
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作詞 紗紗波 |
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サイコロを振る。
出た目の数だけ日数を消費する。
またサイコロを振る。
出た目の数だけ心を削る。
どうやら傘を忘れたみたいだ。
轟轟と音を立て。槍の如く私を貫いてゆく。
雨合羽も持たず。無数の穴に身体を震わせる。
正解を知らない私は凌ぐ術すら分からない。
冷たく無心に身体だけは生きている。
とっても寒くて仕方がない。
街はこんなに晴れているのに。
サイコロを投げる。
零れた分だけ後ろに下がる。
またサイコロを投げる。
遂には目の前すら見えなくなる。
どうやら雨は止まないみたいだ。
執拗な重圧がこの身を潰す。
潰れた私から晴れ間が見えた。
見えた晴れ間を強く強く匿った。
高く。素晴らしく。絢爛で。手放したくない。
遂にはサイコロを持つのを辞めた。
振らぬからこそ雨は止む。
その日を境に羽ばたいた。
クラッカーと共に祝われたずぶ濡れの私。
あの日見た晴れ間は赤かった。
置かれたサイコロと一通の手紙。
くすんだ赤は私の灯火。
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