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聖者の泉
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作詞 堀岡玖哲 |
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ここは、仄暗い洞窟の中の泉だろうか
岩壁を伝う水の音だけがただ、
水面に映らない心を融かして行くなら
ありありと哂う私しか、映らない
真実を見つめる泉は
ただ黒く、まだ黒く深い
下品な笑みを湛える山羊が
博愛までもを嘲笑って
蹂躙する旨を言い当てた。
彼女はただ、静かに呼吸をする
生の存在は未だ証明しきれずに
私はただ、あなたに埋もれていく
自愛の為だと分かっているはずなのに
枯れて枯れて枯れた喉に
ただ一滴の水を
枯れて枯れて枯れた声を
ただ一人きりの声を
ここは、仄暗い洞窟の中の泉だろうか
残響を生み出す暗澹だけがただ
感情は何処に置いてきたのかを問うても
ケタケタと笑う蜘蛛の目
彼女はただ、指を絡めて立っている
生の目的を未だ確立させずに
私はただ、あなたを奪っていく
自惚れなんだと分かっているはずなのに
咲いて咲いて咲いた黒は
ただ寂然の生を
裂いて裂いて裂いた
強く、ただ一滴の血まで
枯れて枯れて枯れた黒は
ただコトダマの命も
満ちて満ちて満ちた泉には
ただ一人きりの声を
「行こう」
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