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ゆめのはじまり
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作詞 堀岡玖哲 |
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止まることのない喘鳴の歌
軋む体に鞭を打つ警鐘
身銭を乞う舞踊 飾りの無いベッド
笑みは絶え絶え夢想に耽る
揺らぐ手を振る 見知らぬ人へ
誘う足は朧を纏っていた
汚された情動 実りの無い成功
増え続ける傷跡は融けるように泣く
閉じ込められた 沙漠の駅で
水面に憧れ 深緑に焦がれ
手にした絵本には色とりどりの
風景が広がって 夢のようだ
「いつか二人で旅に出ようか」
彼女の声に 彼は答えた
「僕たちだけの絵本を作ろう
そしたら、真実だけの物語さ」
枯れ木が荒涼と茂っていた
街路樹に足を踏み出していこう
策略も展望も全部かなぐり捨ててさ
沙で煙る悠遠が巣くった
こんな街にはもういられない
二人でワルツを踊ろう、朝が来るまでは
抱えた廃材と罅割れた皮膚に
食い込む風塵をその身に受け
摩耗する精神 落ちていく表情
陰りが射す道程に折れる信号
努力の結晶を嘲笑った
サバクの都市には残影すらをも発って
空へ上げる天灯 日照り除けの外套
左手には大切な彼女と、夢を見る
病弱を孕んだ少女の背には
天使の手か、死神の鎌か
守るための剣も盾も
無かった、全部、どうしようもなかった
弱っていく灯を握りしめてる
彼の声に 神は答えた
弱り果てる彼女の末に
一筋の光を見ようとした
"沙塵の街に似つかわしくない
男の声にただ首を振るだけ"
"彼女の道がまだ続くなら
僕が標になれればいいな
僕が寄る辺になれればいいな"
二人は死を分け合った
共に街を飛び出して行こう
深緑も滄海も全部絵本に綴じてさ
闇夜に差した一筋の光を求めて歩いて行こう
二人ならきっと何処までも歩いて行けるさ
廻る世界で彩って
視界も廻る絵本を描こう
二人でワルツを踊ろう 夜に暮れるまでは
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