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恋愛狂想曲・序曲
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作詞 野馬知明 |
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「恋愛狂想曲」序曲
聴け、かの妙なる甘美な調べを
いかなる者の胸をも乱さずには止むことのない調べ
ありとあらゆる野を超え
そこかしこの山辺に拡がる
罪人も、悩める者も、貧しき者も
頭を深く垂れ、地にひれ伏し涙で頬を濡らさずにはいられない
この調べの止むとき、この地に生を受けた者のすべてが熱いときめきの炎の中で、
喉元にこみ上げてくる嗚咽をこらえて知るだろう
あの火口に燃え立つ溶岩の火柱のように、
断崖に絶え間なく燃え続けた熾烈な愛の迸りを
あの耐え難い苦しみの碧い色彩に塗りこめられた恋の数々を
今こそ、時空を超えて甦る
死の嶺から飛び立つ不死鳥のように、
堅い大理石に包まれた時の長い衣を纏って、
二度と再び戻ることのない深紅の華の化石の襞を乗り越え、
蒼い泉からあふれ、川の清冽な流れと共に消え、
遥か忘却の海に漂う過ぎ去った日々の哀愁を、この涙で潤う手の中に、
この感涙に震える唇の前に、
音を立てずに、天使の淡い眠りを破らずに、そっとひそやかに、
そして、永遠に、この調べに酔い痴れながら・・・
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