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電車
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作詞 野馬知明 |
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電車を降りる。
木枯らしの吹くぷらっとふぉーむ
乗り換え電車を待つ。
誰あれも乗っていない電車の箱
ぱんたぐらふをすぱーくさせてやってくる
体の重心が前後にふらふらと
酩酊した独楽のようにたゆたう
ああ、電車のへっどらいとに照らし出され、
銀色に輝くれえるの上の
さびしさを悠久に変えるワーム通路
あと一歩、あと一歩
踏み込めばそこを通れるぱすぽーと
そう、あと一歩――
電車は目の前を通り過ぎ
ぶれえきを軋ませて止まる
れえるの上に見えた別世界を消し去って、
また、寂しさがこみあげてくる。
涙をくみ上げるぽんぷの軋み
嗚咽がのど元を通り過ぎるべるの音
この電車に乗って行っても、
わたしの寂しさは消えない。
どこまで乗って行こうとも、
どこまで行って降りようとも、
影のような寂しさは消えない。
ああ、淋しさよ。
わたしの背に疫病神のように付きまとい
わたしの命を啄木鳥のように啄む寂しさよ。
わたしの命は、逆さにならない砂時計の
砂のように、刻々と流れてゆく。
それでもなお、わたしはひたすらに、
淋しさのない国を牧水のように求める。
でも、それを求めることは、
寂しさを必要とする。
寂しさよ、いつもわたしの外にあってほしい。
わたしはそれに耐えられない
そして、わたしの目の前にいておくれ、
せめて、わたしのからだの外に
どうしても去ることが難しいのなら、
ああ、寂しさよ、後生だから、
わたしを死に向けないで、
わたしを殺さないで、
わたしは、耐えられないのだから、
わたしは、誰の前ででも、
涙を流したくない
その寂しさに、
その寂しさに、
その寂しさ・・・に。
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