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ある日のゆうまぐれ
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作詞 野馬知明 |
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電車に乗る
傀儡の様に駆ける電車
泥濘のような景色が車窓にへばりつく
乗車びとは淡い睡郷にいざなわれる
そう、それはある日のゆうまぐれ
昼と夜とに不格好に引きちぎられ
継ぎはぎされた時の谷間
ああ、飛び去る時の刻みの喘ぎ
お化け煙突に挟殺された夕陽の断末魔
電車は芥川の人生トロッコ
誰もかれもが無心に揺られ
赤子のように首を振る
首を縊られたテルテル坊主のように
時の谷間の逆断層に
ホワイト・シャツの
地味なネクタイの男が揺れる
ザンバラ髪から不快な整髪料の臭い
?い堅牢な書類ケースを手に
ムッとする体臭を振り撒く
その毅然とした屹立
ああ、その男から語りかけられたい
淋しさとは何か
肉塊で語合いたい
寂しさとは何か
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