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【しだれ桜と戦闘服】
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作詞 Kite |
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湿った夜空に、大輪の花が咲いた。
しだれ桜が打ち上げられた。
ひと夏の幕が上がった――。
柄にもなく、牡丹とか百合とか
華やかな浴衣を着込んじゃって
「準備万端?」NO!
長い黒髪を纏めたお団子ヘアーと
何だかわかんねぇ派手なかんざし
わたしの決め手は斜め45度に、
さぁ、ぶっ刺して「女子力、注入!」
もう立派な乙女の完成だ。
群がる乙女たちの夏の祭典へ
「いざ、出陣!」
賑やかな祭りに、大輪の花が咲いた。
しだれ桜が打ち上げられた。
ひと夏の思い出は、まだまだ続く――。
生け垣に灯った線香花火は、
清楚でお淑やかな女性を演出―アピール―するために
乙女たちが満を持して、
仕込んだ必勝アイテム。
「これぞ、恋の魔弾!」
最終で最大の一大イベント。
さぁ、意中の―バカな―男よ。
「線香花火の時間だ!」
けれど本当は、奥深いわたしの内側。
別に一人でもいいんだ。
まだ、わたしの夏は始まっていない。
孤独な庭先に小玉が儚く木霊する。
物寂しさを誤魔化す様に
しだれ桜が打ち上げられた。
一人の夏の幕が下りた。
静寂した夜空に、大輪の花が咲いた。
しだれ桜が打ち上げられた。
優雅で奥ゆかしい、
余裕のある女性を演出―アピール―するための、
浴衣は恋する乙女の戦闘服だ。
必ず陥落させる魔性のアイテム。
「刮目して、ご覧あれ」
さぁ、意中の―鈍くさい―男よ。
「仕留められる準備はできてるか?」
澄んだ夜空に、一際大きな大輪の花が開いた。
しだれ桜が打ち上げられた。
ひと夏の幕が下り始めた。
戦闘服姿の乙女たちは、勇ましく去ってった。
さぁ……「締めの線香花火だ!」
恋慕の魔弾が、放たれた……。
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