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No.90
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作詞 歪み |
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遅かれ早かれ一度は落ちると思っていた
濁流のように言葉が頭の中に生まれているのに
水が過ぎ去った後の砂粒のようには留まらない
生まれた言葉に重みがないから
次から次へと一緒に流れて消えていくんだ
もっと もっと 圧力を
重量を 湿度を 痺れも痛みも
ただ独り善がりに含ませてくるくせに
同じを求めるくせに
また本音を隠している
ごめん 嘘だ
怖いだけだ 親しくなればなるほど
ふと顔を上げた時の存在の近さに飛び退いて
混乱しているうちに勘繰られ
自分のせいでありながら
被害妄想を全開にして
意気揚々と笑いながら下り階段を転げ落ちる
ごめん 嘘だよ 嫌われたくない
という本音の前に
嫌われていた方が怖くならないから楽だ
という仮面を被せる
笑ってくれよ
建前なんて役に立たない
短期記憶にすら引っかからない言葉たち
何度繰り返しても規格外で弾き出される
生産工場の外側には
言葉になれなかった文字がゴミ山を作る
拾って 繋いで 並べてみても
すぐに次のゴミが降ってきて
文章になる前に崩れていくんだ
手のひらの中
ホコリよりも重いのに 砂のように隙間を縫う
残ったのは いつもと同じ文字
泥水は過ぎ去った
砂粒も残らなかった
泥に隠れた文字が いつも自分を嘲笑っている
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