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No.81
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作詞 歪み |
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隙間なんて見えないのに 両手で掬い上げたはずの水が
染み込むように減ってゆく その様が
まるで 心の中から喪失してゆく想いのようだ
失くさないようになんて出来なかった
ただ 繰り返さない為に 忘れないという事だけが
唯一許された 償いのような気がして
誰も咎めてくれないのなら あなたが責めてくれないのなら
僕は 僕だけは それを覚えていなければならない
痛みも 傷も 苦しみも 悲しみも 寂しさも
笑顔より 明るい声より 希望より 愛しさよりも
強く 強く 音を鳴らして 刻み込んで
忘れるな 忘れない 忘れられない 忘れたくない
愛が歪んでいる自覚はあったよ
ひた隠しにするしかなかったんだよ
見せて欲しいなんて言わないで良かったのに
疑われるくらいなら なんて
軽薄な重圧に耐えかねた僕の本能は
あなたを傷付けることでしか 愛を現せなくて
こんなに愛しているのに
こんなに愛することが出来るのに
ひとは それを他と比較するから
重いとか 軽いとか そんな事を言っている
愛して欲しいって言ったくせに
好きかどうか 疑うくせに
好きだというくせに
愛していると言うくせに
重さ比べ 天秤は均衡を失った
同じじゃないといけないの?
僕はあなたじゃないよ
あなたも 僕じゃないよ
どうせ変わってしまうんだろう
あなたも あの人も 君も 僕も
ほんの一瞬の たった一理の錆びつきで
苦い顔をしたそのひとくちで
変わってしまう 流れてしまう
また 消えてしまった
手のひらから消えてしまった
潤いの保てなくなった肌は 白くなって
皮膚が乾いて 剥がれ浮く
何度も 何度も 水で満たしても
染み込んで消えてゆく 乾いてゆく
満たされない 本当に満たされたいものだけが
ただいつまでも乾いている
満たしてあげたいのに
どうして どうして 化け物を見るような目をするの
何が違う 何もかも違う 違う事こそが当たり前だ
なぜ否定する なぜ拒絶する なぜ恐怖する
ただ そこにいるだけなのに
呼吸をしているだけなのに
生きているだけなのに
愛しているだけなのに
失ってゆく度に 一緒に何かが道連れになる
今度はどこが剥がれて行くのだろう
まだ愛せますか
まだ 触れたいと思えますか
僕は もう
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