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鋒
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作詞 歪み |
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いったいどれだけの年月を隔て
痛みを残していれば良いのだろう
これは罰なのだろうか
これは因果だろうか
吐き続けても止まる事のない不快は
いつか全てを飲み込んでしまうのか
切りつけた腕の痛みなど
足の剥がれた親指の爪に比べたら
きっと蚊に刺されたようなものだけれど
あの一瞬の不可抗力的衝撃は
刻み込むような緩慢さで滑らせた刃物より
痛みの天秤は地に近い
薄く残った浅い傷跡は皮が硬くなり
新しい刃は押し込まないと凶器にならない
撫でてザラつく感触と
布で縛った圧力と
火傷のような小さな痛みを求めている
それは生の確認ではない
ただ 付け焼き刃の気晴らしで
終わればまた 重苦しい湿り気を帯びる
助けてほしいと嘆いたところで
いったい何が助けになるのかはわかっていない
だから口を塞いで
静かな部屋で ひとり また赤を塗りたくる
強くないんだ 本当は凄く脆くて弱くて
情けなくて クソみたいな人間だ
見えない恐怖に勝てなくて 逃げ続けている
逃げ続けている 逃げ続けている
これは罪なのだろうか
誰も正しく責めてくれないから
自分で重圧をかけ続ける
生きる価値は まだ見つからない
生まれた事の感謝もない
浮き出ている血管を押しつぶすように
買ったばかりの剃刀の先をあてがう
その先に待っている過程と結果を想像して
理性に洗脳された思考回路の中
結局また 刃物は硬い皮の上に戻った
誰の顔も思い出せない
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