|
|
|
一寸光陰
|
作詞 歪み |
|
「素直になりなよ」とあなたは言う
無邪気な笑みを見せるあなたは
言葉を紡ぎ 声を吐き出す怖さを知らない
他愛の無い会話でも
冗談の混ざる声の往来であっても
僅かに載せられた重みのない悪意は
誰かの心を貫いて風穴を開ける
愛おしいと思えば思うほど
僕らは言葉数を減らしてゆく
彼らを傷付けないために
自らを傷付けないために
その温もりを失ってしまうことを恐れる
けれども本当は
失わないと気付く事が出来ないと
心のどこかで知っているから
痛みから背を向けていたくて
愛する事から目を逸らす
いまだ 叫ぶのは 今なんだ
この瞬間しかないんだ
この次があると思ってはいけないんだ
だって 当たり前にしてしまったから
伝えられずに晩年を迎えた
とうの昔にあなたは朽ちて
成り立たない独り言の虚しさに
酸素を吸い込む事すら悔いた
だから 今なんだ 今だけなんだ
どれだけ傷つこうとも
それこそが愛なのだと
恥じる事なく声を上げて
埋まらない風穴を吹き抜けるほど
その身を焦がして揺らぐほど
あなたが愛おしいから素直になれない
あなたを失いたくないから言葉が隠れる
その代わりと言っては悪いけれど
この身の可能な限りで
あなたに伝わる心を見せようと
目を伏せたあなたに触れる
今がその時なのだと
この一瞬を あの幻にしないために
|
|
|