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沈殿
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作詞 歪み |
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背景は夏の晴れた空の入道雲
熱を帯びたアスファルトを蹴り付けて
前へ前へと走り続ける
映し出されたのは
僅かに見上げる輝く表情
キラキラしたその全てに吐き気がした
作りあげられた物語が妬ましい
今と違う世界が羨ましい
変えられないモノが確かにあって
それは最も望んでいるモノで
どれだけ掌を返して翳しても
なにも出てきやしないのだ
現実は薄暗い
液晶の向こうはいつも眩しい
「飛び出すんだ 勇気を持って」
喧しいくらいの圧力が
また少し僕を押し潰す
世界征服を目論む魔王になって
勇猛果敢な青年に予定調和で倒されて
破裂するか 溶解するかを選択して
粘度の低い液体になって
土に染み込んで世界と一つになりたい
正義と正義のぶつかり合い?
悪役の正義を否定するくせに
結局力で勝った方が正義でしょ
主人公は生まれたその瞬間から
八百長試合に駆り出されている
倒された悪役は役目を終えて
早送りした世界の主人公を
世界の一部から見続けて
死ぬまで己を貫けなかった彼らを
今か今かと待っている
そんな物語を創り上げたけれど
僕は変わらず薄暗い部屋にいて
布団をかぶって蹲ってた
光り輝く画面の向こうで
無音の映像が流れ続ける
終わりの背景も明るかった
電源を切らない限り
ずっと眩しい
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