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証明写真
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作詞 歪み |
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たまたま見つけた写真の中で
古くなった少年が 無邪気な笑みで映ってた
鏡の中にいる青年は 無気力な笑みを映した
それは 1095日の日々が奪ったものだ
取り戻そうとしたけど出来なかったから
見たくなくて 写真は燃やした
またひとつ 過去の証明が消えた
何も残したくなかった
本当は 写真になんて写りたくなかった
だって思い出話の中で
自分の事を引き出してるほしくないから
忘れて欲しかったから
「ごめん 嘘ついた
笑われたくなかっただけ」
青年は怯えていた
自分に怯えていた
傷つけたくなかった
傷つきたくなかった
嫌われたくなかった
嫌われるようなことはしたくなかった
でも みんなが受け入れてくれるわけない
それが分かってても 怯えていた
顔は笑ってた
周りと一緒に 楽しそうに
頭の中で 首元に縄を掛けたまま
いつ引き上げられるのかと
常に気を張って怯えていた
そうしないと誰とも会えなかった
「ああ ごめん また叫んじゃった」
眠ってたい 転がってたい
ナマケモノになったら許されるのかな
四六時中寝てても咎められないかな
でも 危ないところにいたくないから
優しい人に飼ってもらえるような
猫とか犬とか フェレットとか
そういう生き物になりたい
でもあいにく 生まれは人間だから
たまに 人間を休憩して
日がな一日 そんなふうに過ごしたい
そしたら次の日はまた
人間として出勤するから
「おやすみください」
親が作ってくれてたアルバムの中身が
いつの間にか消えていた
残ったのは 産まれたばかりの赤子の写真
大の字で 満足そうに眠ってた
それだけ何故か燃やせなくて
親の幼少期のアルバムに挟んで
静かに閉じた
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