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夜伽の晩
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作詞 橙 ヨシヒコ |
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父ちゃんが 死んじまった
実感が湧いてこないけど
たしかに そこで死んでる
今夜は夜伽の寝ずの番
まだなんも 親孝行らしい
ことなんか しちゃいない
酒を酌み交わして 男同士
腹を割った話もできなかったな
昨日の明け方
妹から かかってきた電話
まさに 寝耳に水のような
”心肺停止”の第一報
間に合わなかった
車を飛ばして駆けつけたのに
病室のドアを開けたら
一目で死んでると わかった
父ちゃん、なにか 俺に
言い残すことはなかったか
灰になっちまう前に
生き返るのなら 今のうちだよ
線香を 絶やさぬように
三本まとめて 立てた
バカだよな、それなら
一本 立てたのと 変わらない
俺の選んだ遺影の
父ちゃんが こっちを見てる
蝋燭が 揺らめいた
なにか伝えようとしてるみたいだ
”消える前の蝋燭は
はげしく燃え上がる”という
善くなるかと思ったよ
そういうことだったのか
戦艦大和が
好きだった 父ちゃんを
いつか 広島の呉に
連れてってやりたかった
父ちゃん、なにか 俺に
言い残すことはなかったか
恨み言でもいいからさ、
ちょっと その目を開けておくれよ
父ちゃんの 名前の
看板が 表に出てる
信じられないな
いまだに ピンと きやしない
父ちゃん、なにか 俺に
言い残すことはなかったか
灰になっちまう前に
生き返るのなら 今のうちだよ
父ちゃん、なにか俺に
言い残すことはなかったか
恨み言でもいいからさ、
ちょっと その目を開けておくれよ
肩をつかんで 揺さぶっちゃうぞ
なんとか 言ってくれよ
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