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黒く染まった硝子球
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作詞 iris |
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指の間から霞む景色はあなたの笑顔で満ち溢れ
砂嵐で掻き消されていく画面の向こうへ手を伸ばす
ほらほらきっともう少しだから
どうかこの身体を抱きしめて
それは愛を必死に歌う何処にでも居るような歌姫
けれど私には出ない音域を奏でるその声が
いつかの想い映した水面の波紋広げていく
ああ どうかそんな声で嘆かないで
硝子の靴は今にも壊れてしまいそう
この双眸に流れる今生きる動物の全てを
一体誰が何処まで理解できるでしょう
もし何でもすぐに分かるほどのいい眼ならば
消えたあなたをすぐに思い出せるのに
硝子の心は今にも割れてしまいそう
指の間から霞んでいく光があなたの笑顔だと知った時
声を枯らした私の心は無限へと戻っていく
ああどうかそんな声で哀しみを歌わないで
ただあなたを抱き締められるなら
少しでもあたたかい場所まで歩いて生きましょう?
幸せを叫んでいたはずの過去から
涙を憂い嘆いている現在まで
あなたに一体何があったのか
どこにもない歌の在処を探している
硝子の靴はどこかに忘れてきたの
この二つの眼球に映し出されたあなたのドレスはとても綺麗で
この二つの鼓膜から伝えられるあなたの声はとても美しく
この二つの手に抱き締められるあなたの身体はとても細く
この一つの口から溢れる言葉は綺麗事ばかりだった
硝子の心が崩れ落ちて いつか黒く染まったなら
指の間から霞んだあなたの笑顔が消えていく
もっと強く歌ってみせて いつまでもいつまでも
ああどうかその枯れきった声で生を死を歌わないで
少しでもあたたかくなるのなら 私はこの声帯を、
あなたに 差し出すから
硝子の心が黒く黒く、闇に消えるなら
枯れてしまったその声をいつか光だけの絶望に変えて
この荒れ果てた世界の果てを共に歌いましょう
もう届かない麗しき霞んだ景色の先へ
一緒に歩いて生きましょう
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