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カリストーとアルカス〜ある母子の物語〜
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作詞 あかさてな |
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今は昔、月と狩りの女神アルテミスの伴をする
ニュムペーの一団にカリストーなる乙女が居た
其の美しさは大神ゼウスの眼に留まる処となり
ゼウスは早速カリストーを手篭めにし孕ませて仕舞った
或る日アルテミスはカリストーに違和感を覚え
自らの持つ銀の弓にカリストーを跨がせた
するとカリストーの腹から元気な男の子が産まれた
貞淑と純潔を何よりも重んじるアルテミスは憤慨し
カリストーの姿を其の場で雌熊に変えて仕舞った
然し産まれた赤子を不憫に想いヘルメースの母マイアに預けた
嘗ての美貌とは裏腹の醜い獣と化しても心は乙女の儘
カリストーは森の獣達に怯えながら当て所も無く彷徨う
軈て十数年の年月が過ぎ立派な狩人と成ったアルカスは森で一頭の熊と出会す
此の熊こそ産みの母親カリストーである事も知らず
アルカスは持っていた槍で熊を狩ろうとした
此の場面を天上より見詰めて居た大神ゼウスは
アルカスを子熊に変えカリストー共々星宿とした
然し此れに嫉妬したヘーラーは養父母であるオーケアノスとテーテュースを訪ね
新たに星宿と成った母子を海で休めぬ様にして仕舞った
其れが故に北天に輝く大熊と子熊は夜空を永遠に休む事無く巡り続けているのである
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