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服にしみ
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作詞 新田拙 |
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服にしみた煙のにおいを連れて去るまでの
緩く澱んだ沈黙の時間が
空き箱の中の空洞の二人を満たす
私は月が窓から見える場所にいて
あなたの場所からは月は見えない
痛みのない悲しみが
痛みのない窮屈さが
進まない時間の中
手首に這って消える
泥に沈む街のどこかで今は音もなく
硬く湿った空白の時間が
空き箱の中の空洞の二人を満たす
痛みのない悲しみが
痛みのない窮屈さが
進まない時間の中
目を開いては閉じる
痛みのない悲しみが
痛みのない窮屈さが
首筋を這って
弾けることもなく
砕け散ることもなく
涙もなく声もなく音もなく
終わっていくんだろう
服にしみた煙のにおいを連れて
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