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電車ごっこが来る時間
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作詞 新田拙 |
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名前のない駅にはたくさんの人とたくさんの足
電車がここに来れば どこにも行けない人たちが
どこかを目指して乗っていく
腕をなくしたカマキリがバッタになって飛び跳ねる
お腹空かせた古い焼却炉は煙を吐いて
よだれを垂らして待っている
電車ごっこが来る時間
疲れて寝るまで連れていく
電車ごっこの赤いひも
どこかへ向かって連れまわす
線路の上には子供たち 影踏みをして遊んでる
運転手はとっても とても申し訳なさそうに
ゴメンナサイと言っている
夕暮れの街の風景は朱くて直視しきれない
字のない看板たち顔のない酔っ払いたち
すごい早さで雲の中
電車ごっこが来る時間
疲れて寝るまで連れていく
電車ごっこの赤いひも
どこかへ向かって連れまわす
すっかり夜の空の上 トビオリルカタハコチラマデ
運転手はとっても とてもかなしい声で
震える声でそう言った
電車ごっこが来る時間
どこかに着くまで連れていく
電車ごっこの赤いひも
夜が明けるまで連れまわす
電車ごっこが来る時間
明日の来ない人たちの
電車ごっこの赤いひも
首を探して待っている
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