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反対側
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作詞 千 |
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静寂の手術室前 今 愛した我が子(アナタ)の
身体の一部が ひとつひとつと 取り出さられて
必要とする誰かの身体に埋められてゆく。
「こんな身体でも 誰かの為になれるなら
必要としている人たちに 使ってね。」
「“僕は消えない”理由になるでしょう?」
痩せた表情で 話す我が子(アナタ)を逸らした。
嘘を塗った言葉が 喉に詰まって 同じ言葉を
何度も 私自身に言い聞かせるかのように
繰り返した“早く元気に なって外に出ようね”
“長生きしてね”が 我が子(アナタ)の口癖だった。
でもね 少しずつ 表情が痩せていく毎に
我が子(アナタ)が望む反対側に何時も 私がいた。
我が子(アナタ)が消えたその世界で
最後に望んだ事が 終わりを告げた頃
救われた人たちが慈しみながら
生きていても それでも必然的に
それ以上は無くて 私以下で。
涙の跡が残ったまま 表情を作り直した事を
隅で泣いていた事を 知っていたからかな。
思い浮かべれば 笑う我が子(アナタ)ばかりで…
嘘を塗った言葉が 喉に詰まって 同じ言葉を
何度も 私自身に言い聞かせるかのように
繰り返した“大丈夫消 えていない 胸の中に今も”
…(いるよね?)
口癖のように 我が子(アナタ)を思って息をしてみた
でもね 息をする毎 我が子(アナタ)の反対側で
知らない私のまま ただ静かに 泣いているだけ。
“長生きしてね”が 我が子(アナタ)の口癖だった。
でもね 少しずつ表情が 痩せていく毎に
我が子(アナタ)が望む反対側に今日まで 私がいた。
だから今度は 我が子(アナタ)の側で…今逝くよ。
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