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砂の唄
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作詞 マンボウ |
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高架下を通れば
電車が頭上で騒いで
他愛のない静寂を
取り繕っている
静けさが戻れば
君はわざと立ち止まって
不意を突かれた僕を
面白がっている
その揺れる細い腕を
掴んでしまえば
容易く砂の様に
崩れてゆきそうだ
ざらついた音が風と共に
流れていった
隣で君は微笑んで
「淋しいね」と言った
どんな唄を歌えば
本当の君が顔を出すの?
柄にもない想像で
格好つけている
自らを塞げば
君が浮かび上がってくる
そう思い込んだ僕は
ナイフを持っている
ともすれば笑う君を
恨んでしまえば
気安く触れる事は
出来なくなりそうだ
優しさや嘘が胸の奥を
溶かしていった
隣の君を見たけれど
何も言えなかった
過ぎ去ればどんな事も
忘れてしまえる
もう振り返る事は
出来なくなりそうだ
撫でる様に翳し空を切る手
重なりあった
取って付けた様に僕は
「さようなら」と言った
「また明日」と言えなかった
また「明日」が見えなくなった
また「明日」が見えなかった
「また明日」と言えばよかった
高架下を通れば
電車が頭上で騒いで
君の居ない静寂を
取り繕っている
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