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別人の彼女。(文章一部抜擢)
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作詞 5CAP |
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朝の爽やかな日差しに
寄り添うように
細い手首に薄く動く影があった。
それは、首から上へと伸びていて
“彼女が生きている”
それは..
確認しなくても
充分に分かることだった。
窓際にすり寄り
どこか儚げな表情をしていた。
もうすぐ
去ってしまうであろう夕焼けに
別れを告げてる様だった。
彼女はグリーンティが好きだった
反対に僕は香ばしく香り
安価で手に入る麦茶が好きだった。
いつも怒りを露にしない彼女だが
飲み物に関しては
異常な拘りを見せていたのを
今でも、僕は覚えている。
大切なモノ以外には
とても冷めた印象を覚えた。
あれは、夏の日だったよ。
オレンジの香りでもしそうな程
鮮やかに咲く薔薇の近くで
一羽の雀が死んでいた。
俺がそれを片付けようとすると
彼女は、穢いものでも
触るかのような表情だった。
利き手とは逆の手で
雀を強く握り
薔薇の木の下に植えていた。
そう彼からは聞かされた。
僕の知っている彼女は
とても優しかった。
先月もそう
ベランダにきた小鳥に
微笑み、餌をやっていた。
ほんと
僕が知ってる彼女とは
別人のようだった。
つづく。
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