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妖精
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作詞 緋岸花 |
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これは 僕に訪れた奇跡の話
よそ者の少年は 独りぼっちで
人の輪に入れないまま
別に いいさ とため息こぼしては
強がっていた 午後1時
今日も僕は一人で 大樹の下
静かに読書をする予定だったのに
若葉と共に落ちてきた少女
フワリ 緑のワンピースを揺らして
脳天気に笑っては楽しげに
「若葉の妖精です!」なんて信じる訳ないだろ
大樹が住処の妖精は
ポジティブ思考の煩い馬鹿
どんなに冷たくあしらっても
しつこく「友達」になろうとする
「僕には そんなの必要ない
わざとらしく笑いあってくだらない」
皮肉めいた少年は変わらない
若葉の妖精は悲しげに笑っていた
何度目かの夏の終わり 儚げな少女
「どうやら、さよならのようだ」
嘘だろ?
「傷ついて泣いてる君と仲良くなりたくて
笑わせたくって無理をしちゃったけど
少しは 友達になれたかな?」
若葉と共に落ちてきた少女を
僕は 生涯、忘れない
お節介やきのお人好し
若葉の妖精 認めてやるよ
これは僕に出来た親友の話
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